両親や高齢者の介護をしている人達の多くの心配事として挙げられるのが、「便秘なのかそうでないのか分かりづらい」「便秘を解消してあげたいけれど、どうしたらよいの?」といった悩み。
そこで今回は、介護中、被介護者の便秘のサインを見逃さないためのポイントや、便秘解消法などについて、詳しく紹介していきます。現在介護中の人はもちろん、近い将来介護をする可能性があるという人は、参考にしてみてください。
目次
高齢者の便秘のサインは分かりにくい

自分がもし便秘になってしまった場合、お腹の張りや腹痛などの自覚症状によって自分が便秘であることに気付かされますが、介護をしている相手が便秘なのかそうでないのかは、よく観察しなければなかなか分かりづらいですよね。
しかも、高齢者や病気などで寝たきりになっている人は、運動不足によって腸の動きが鈍くなったり、腹筋が弱まることで便秘になりやすいと言われています。そのため、注意深い観察が必要となります。
介護中の方の中には、「たかが便秘」と考えている方もいるかもしれませんが、便秘を放置してしまうと、腹痛や吐き気、食欲不振、口臭・体臭などのほか、便が腸をふさいでしまう「腸閉鎖」を引き起こす可能性も。
また、排便の際に力強くいきむことで、急激に血圧が上昇し、脳出血が起こる危険性さえあると言われています。
では、一体どのようにして被介護者が便秘かどうかを判断すればよいのでしょうか?まずは、便秘を見極める10個のチェックポイントを紹介します。
- 下腹がポッコリと出ている
- 歩く姿勢が、前かがみになっている
- 昔に比べて食欲が落ちた
- 比較的イライラしていることが多い
- 吐き気を訴えている
- 便が硬い、もしくはコロコロ状だ
- 排便は週に2回以下
- 下剤に頼っている、下剤の使用が習慣化している
- 便やおならが、普段以上に臭う
- 体重が10キロ以上落ちた
上の項目に当てはまる数が多ければ多いほど、便秘の症状は重症化していると考えてよいでしょう。
運動があまりできない分、食生活を見直しましょう
便秘を改善するために重要となるのは「食生活の改善」「適度な運動」「ストレスの解消」の3つ。ただ、介護を必要とする高齢者は、思うように運動ができなかったり寝たきりの場合が多いため、まずは食生活の改善に重きを置いて対策を講じるのが得策です。
便秘を解消する食生活って?
①1日3食、決まった時間に食べる
食事の量が少なくなると、便の量が少なくなるばかりか、便意を感じづらくなります。規則正しく1日3食食べるようにすれば、便のかさが増すことで腸の蠕動(ぜんどう)運動が促進され、便意も感じやすくなります。
特に朝食は重要で、起床後空っぽになっている胃や腸に水や食べ物が入ることによって、それが刺激され、排便が促されると言われています。
朝あまり食事がのどに通らないという場合は、コップ1杯の水か白湯と、野菜や果物といった比較的食べやすいものを摂るようにしましょう。
②水分を細めに摂る
便秘は、便の水分量が減ることも大きな原因です。高齢者は、若い人達に比べて体内の水分量が10%ほど少ないため、便秘になりやすいと言われます。そのため、細めに水分を摂ることも大切。特に食事中、食事と一緒に水分を摂るのが効果的です。
③食物繊維を摂る
便をやわらかく保ったり、かさを増すなどスムーズな排便に欠かせないのが食物繊維です。食物繊維は、主に海藻類に含まれる「水溶性食物繊維」と、豆類や野菜、果物などに多く含まれる「不溶性食物繊維」との2種類ありますが、「水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2」の割合で摂取するのが理想的だと言われています。
④乳酸菌を摂る
腸内環境を整える役割を持つのが乳酸菌。ヨーグルトやチーズなどの乳製品のほか、味噌や漬物といった発酵食品に多く含まれています。できでば、これらの食品を毎日継続して摂取するのが望ましいです。
⑤オリゴ糖を取り入れる
便秘を解消するために大切なのは、悪玉菌優位となっている腸内環境を、善玉菌優位にすること。オリゴ糖は善玉菌の大好物と言われ、働きを活発にさせる効果があります。主に、バナナやハチミツ、タマネギ、ゴボウ、トウモロコシ、ニンニクなどに多く含まれています。
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高齢者が便秘を繰り返さないよう予防のために私達が出来ること
日々の食事を見直すことで、便秘の解消や予防につながりますが、その他にできることと言えば、ストレスの解消。腸は、人間の臓器の中で最も繊細と言われていて、ストレスの影響をダイレクトに受けやすい臓器です。
そのため、ストレスを溜めこんでしまっては、腸の筋肉が硬く鈍くなってしまい、便を肛門までスムーズに押し出すことができなくなってしまいます。
そのため、介護を受けている高齢者は、できるだけ自分の趣味やリラックスできることを生活に取り入れることをお勧めします。
また、ストレス解消のために介護者ができることとは“手で触れてあげる”こと。人は、撫でたり・さすったり、手を握ったりすることで自律神経に働きかけ、リラクゼーションにつながると言われています。これは、看護の視点からもとても重要視されていること。

時間がある時に、お腹を優しくマッサージしても良いですし、肩や背中をさすってあげるだけでも、十分にストレスを軽減することができます。
介護を受けている人までも、「便秘を早く解消しなくては!」と思ってしまうと、それが逆にストレスになって症状を悪化させてしまう場合もあるので、介護者は、介護相手の便秘に敏感であっても、それを介護相手にまで求めることはやめましょう。
高齢者・介護者の便秘解消についてまとめ
いかがでしたか?
高齢者の便秘を解消する最善の方法は、やはり食事の見直し。便秘によいとされる食品はいくつかありますが、人それぞれ合う合わないがあるため、介護をしている高齢者にとって便秘解消につながる食品を見つけると、その後の介護が楽になると思います。
その食品を見つけるまでが大変ですが、最初は食事の内容と排便の様子をノートにメモしておくと、自然に分かるようになります。ストレスは被介護者にとっても介護者にとっても悪影響を与えるので、便秘を解消しようとあまり気張りすぎないでくださいね。
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